医療法人設立
現在、医師・歯科医師が独立開業する場合の多くは医療法人の設立です。
法人化することで設備投資や相続において節税のメリットがあるばかりでなく、昭和60年12月の医療法改正によって「1人医師 医療法人」つまり1人の常勤医師での医療法人の設立が認められ、開業医が法人化しやすくなりました。
医療法人化によって、個人診療所ではできなかった分院が可能となり、さらには介護老人施設も設置できるようになり、事業展開の可能性も拓かれます。
超高齢化社会は、医師の高齢化も例外ではなく、地域医療を守るためにも医業を事業として承継しやすい医療法人としての開業が進んでいます。
医療法人を設立するには、都道府県に申請し、認可を受ける必要があります。
認可の要件は人的要件、施設要件、資産要件があります。
人的要件
・役員の員数は最低、理事(理事長含む)3名+監事1名以上が必要
・役員はすべて欠格事由に該当しないこと 欠格事由:被後見人や犯罪行為
・理事長は医師または歯科医師でなければならない
・法人の理事就任予定者や医療機関の職員は監事に就任できない
・医療機関の管理者は必ず理事に加えなければならない
・社員は最低でも3名以上必要
施設要件
・少なくとも1箇所以上の病院・診療所・介護老人保健施設の設置
・医療行為に必要な設備・器具の確保
資産要件
・設立後2カ月分の運転資金が現預金で確保されている
設立認可申請のおおよその流れは次の通りとなります。
都道府県ごとに決められたスケジュールで申請を進める必要があります。
神奈川県では5月と8月、東京都では8月と3月が受付で、年2回です。
認可が下りるまで4~6カ月ほどかかります。
都道府県に対する認可申請の流れ
➀ 事前協議(仮申請受付)
② 医療法人設立説明会(ヒアリングなど)
③ 定款の作成
④ 設立総会の開催
⑤ 設立認可申請書の作成・提出(本申請)
⑥ 設立認可申請書の審査
⑦ 設立認可証の発行
⑧ 設立登記申請書類の作成
⑨ 設立登記
医療法人の認可後、開設までには、さらに3ヵ月もの時間がかかります。
この間に下記の流れのような手続きや申請が必要です。
同時に個人診療所の廃止届などを保健所と厚生局にすることが必要となります。
都道府県の認可後に保健所、厚生局に提出する主な申請書、届出書
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診療所開設許可申請
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X線設置届
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診療所開設届
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保健医療機関指定申請
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麻薬施用者免許申請
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難病医療費助成指定医指定申請
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指定医療機関指定申請
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労災指定医療機関等登録申請
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被爆者一般疾病医療機関指定申請
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生活保護法指定医療機関指定申請
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夜間・早朝等加算届
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時間外対応加算届
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明細書発行体制等加算届
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機能強化加算届
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外来後発医薬品使用体制加算届
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胃がん検診及び胃がんリスク検診精密検査実施医療機関申請
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医師届出票
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保健師・助産師・看護師・准看護師業務従事者届
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通行禁止除外指定者標章交付申請
医療法人設立サポート報酬料金
医療法人設立に手続きは、医師・歯科医師の理念を実現するために行うものです。
そのため、手続き内容は医療機関の診療内容により多岐にわたります。
報酬の概算の目安は、
医療法人認可の手続きについては60~70万円税別+実費10万円~
認可後の各種申請・届出手続きについては40~50万円税別+実費10万円~
登記など手続きについては司法書士、社会保険等の手続きには社会保険労務士、税務の手続きには税理士が関わり、それぞれの報酬は別途かかります。
行政書士は、認可許可、届出という設立業務の全体像を把握して、医療法人設立の実現をはかるプロデューサー的な立場になります。
スケジュールを確認し、申請内容について打合せを重ね、医師・歯科医師の意思を確認しながら手続きを進めていきます。
注意!
医療法人設立すると、毎会計年度後に都道府県知事宛に各種報告書提出義務あり
医療法人開設後、医師・歯科医師は診療に邁進します。
そのため、様々な報告書などの提出は意外と失念し、都道府県から書類の提出を求められて、慌てて困ることが多々あります。
当事務所では、医療法人開設後の書類提出についてもサポートします。
報酬については、顧問契約していただくことで、その都度の依頼ではなく継続性がありますので一番安心と言えます。
顧問契約報酬は内容により月額5万円税別~になります。
実費は発生時に別途かかります。
毎会計年度後に提出する書類
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医療法人の概要
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事業報告書
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医療法人の財産目録
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貸借対照表、損益計算書→税務・会計は税理士
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関係事業所との取引の状況に関する報告書
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監事による監査報告書 など
変更などがあった場合に遅滞なく提出書類
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定款変更認可申請書
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役員変更届 など