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相続といってもプラス財産ばかりではない。マイナス財産の塊のような相続もある。

相続という手続きは、被相続人が有するすべての財産、債権、債務を丸ごと受け継ぐことをいう。財産を分けるのが相続でなく、借金を分けるのも相続なのね。

ただ、作家や音楽家や画家に作品を依頼して生まれた債務は他の人で債務の履行ができないので無効となる。こういう債務を一身専属債務といい、相続の対象にはならない。


マイナス財産というと分かりにくいので「借金まみれ」という。

借金まみれの被相続人を相続すると、相続人も借金まみれになる。


この悲劇を回避するには、相続放棄か、限定承認相続という手続きを行う。

相続放棄は、金輪際相続しない宣言であり、

限定承認相続とはプラス財産の範囲だけマイナス財産も受け継ぐプラマイゼロ相続だ。


相続と縁を切る相続放棄はわかりやすいが、限定承認相続はなんか意味あんの?と思うよね。しかも限定承認相続は相続人全員で行わなければならない。


たとえば、町工場を営んでいた父ちゃんが死んだ。財産は借金のほうが多かった。

でも、父ちゃんが後生大事にしてきた工作機械があった。

息子たちはその父ちゃんの宝物を失いたくなかった。


じゃあ、借金はなしにしてもらい、父ちゃんの宝物でなんかやってみるか!

そして息子たちは町工場の技術を駆使して、父ちゃんの宝物で大ヒット商品を作った。


つまり、夢をつなぐことができるかもしれないというのが限定承認相続だ。

なかなかなかなかだけど、個人的にはいい感じだ。

つまり、金にはならんかもしれんが、借金まみれの父ちゃんの宝物を受け継ぐ感じである。


問題は、

単純に借金も含めて相続するか(単純相続)、

相続と縁を切るか(相続放棄)

未練がましいけど大事なものは残すか(限定承認相続)、

このいずれの相続にするかは

なんと、被相続人が亡くなって3か月以内に決めなければならないのだ。

相続人みんなで限定承認相続をするにはかなり家族が結束していないとできないなあ。


あと「相続放棄」と「相続分の放棄」も違うのです。それはまた次回。

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まだ若いから大丈夫と思っていても、身体を鍛えていても、事故、心臓病、脳血管障害で突然死ぬことがある。

子どもがまだ未成年なら、親がひとりの家庭では必ず遺言を万が一のために作成しておいた方がいい。未成年者は法律行為が単独でできないため、未成年者を代理する人が必要になるからだ。遺言がないと家庭裁判所が決める。それは親のあなたも知らない法律家である。

親を突然失い、途方に暮れている時に現れた見知らぬ人が親代わりだと言われても子どもには負荷が大きすぎる。子どももよく知っている友人が法律に通じていれば、理想的な未成年者後見人だが、なかなかそういう人少ない。

できれば法律に通じている親の友人で、親のほかの友人ともつながりがあり、子どもともつながりがある人を未成年者後見人に指名するのがいちばんいい。万が一の時は相続やら税務やら次々と手続きが襲ってくる。

親の友人と相談しながら手続きを進めればいい。子どもが成人すれば未成年者後見人は必要なくなるが、相談できる人が子どもにできるのはいいことだ。

遺言は自分の意思で何度でも書き換えれるし破棄することもできる。生命保険より使える。


自筆証書遺言なら専門家のアドバイスの元、リーズナブルに作成できる。

いまは法務局の保管制度を使えば家庭裁判所の検認という調べもいらない。

カジュアル遺言で自分が万が一の時に備え未成年者の子どもを守ることは賢い親の努めだ。

ひとは突然死ぬことがある。だからこそだ。


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養子縁組というのはだいたいこんなイラストのイメージだ。子どもがいない夫婦が他の夫婦の子どもを引き受けるパターンだ。しかし、こんなイメージをぶち壊す痛快な農家がいる。

AさんとBさんは「夫婦」であるが「兄妹」でもある。

息子さんAの父さんCが、Aさんの嫁さんBにお世話になっているから、父さんCは嫁さんBを養子にしたのだ。息子の嫁さんBは家のために一生懸命働いてくれるが、結局は血族でないから父さんのCの相続人にはなれない。

すごくよくある息子の嫁の孤立。息子のAが死んだら家を支えながらも他人になる。そんな矛盾が許せなかった父さんCは、家に入り浸り、ろくに働かず、権利ばかり主張するアホな他の子どもたちに相続でツベコベ言わせないために、出来の良い息子Aの努力家の嫁さんBと養子縁組した。これでBさんはCさんのれっきとした相続人になった。

息子夫婦は夫婦であり、法律上の兄妹でもある。

民法には息子の嫁を養子にできないという規定はない。実態としては何も変わらないが、法的には嫁さんBはCさんの娘になるから、おバカな他の子どもたちは相続の際、Bさんを排除できない。もちろん嫁さんの家族との関係は今まで通りである。


Aさんは笑いながら話す。「親父は賢い!革命家はいつも大事な人を守るために立ち上がる!まるでチェゲバラのようだ!」と。そしてAさんはぼくに耳打ちした。

「親父は隠れ共産党支持者なんよ・・・」

「夫婦で兄妹作戦」はオススメだ。常識をひょいと飛び越えるたおやかさ。

養子縁組は届け出るだけで、簡単にできる。

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