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口約束のチカラと危険

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更新日:2024年6月28日



仕事や生活の中で「口約束」を交わすことは多いかと思います。

「所詮口約束だから」、「契約書があるわけじゃないから」と軽く考えてはいませんか?


口約束とは、契約書などの書面を用いず、言葉だけの「口頭」で行われる約束のことです。仕事上・私生活における会話や電話でのやり取りによる「決めごと」が口約束になります。


口約束には法的な効力があります。民法において、契約は「当事者の意思表示の合致」があれば、書面がなくても成立すると規定されています。民法の第522条です。


民法第522条(契約の成立と方式)

⒈契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

⒉契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。


「書面による契約」と「口約束による契約」は、原則、法的な効力に変わりはありません。「契約書がなければ契約は成立しない」というのは間違いなので、注意です。


口約束の内容を証明するのは「当事者の記憶」のみです。

そのため、「言った、言わない」 というトラブルが起きやすくなります。


  • 聞き間違いによる契約内容の齟齬

  • 勘違いによる契約内容の齟齬

  • 口約束の有無(忘れるなど)


当事者だけで解決しない場合は裁判で争うこともありますが、裁判では「口約束の存在」の証明が必要です。立証できなければ相手方が悪い場合でも裁判に負けることも有り得ます。


高齢化社会はこの口約束を忘れてしまうことが頻出します。勘違いも多発します。

たくさんの作品を所蔵する画廊、画商が歳を取り、作品の整理も出来てなく、作品に関する約束が書面で交わされてなく認知力が低下していくと、画廊と製作者の当事者間の口約束の内容にお互い齟齬が起こり、トラブルになります。「買い取った!」「預けていた!」

こうなることが起きる前に、約束を書面に記すことができればいいのですが、この契約書化の作業でまた内容に関して口約束の言い分が食い違い、揉めてしまうと、さあ大変です。

もはや当事者間では解決不能になります。第三者に入って整理整頓するしかなくなります。


口約束の効力の時効は「5年間」です。決めたことを5年間行なわない場合には、その約束は無くなります。これは債権の消滅時効です。

製作者は画廊に作品を売ってもらおうと依頼して預けた、又は渡した。売ってもらうという動機は、お互いの役割として第三者にも理解しやすい動機ですので、それが売れずに5年が経ち、収蔵庫に眠った状態であったら、口約束は消滅したとすることを当事者に提示して合意する。5年の起点は作品制作年とする。

こんなふうに法的な原則に則って進めるしかないかもしれません。これなら民法の契約により発生した債権の始末の仕方として第三者にも受け入れやすいのですが・・・

お互い歳をとると難しいのかな?


更なる手は画廊主が遺言に「一定の要件に合致すれば返還すること」を自らの意思で記すというものですが・・・これもなかなかですか・・・

よくわからない経緯でオークションに出品される美術品が多いのはこんな口約束の果てに漂流を始めたモノが多いからなのでしょうか・・・






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